歪みすら起きない現代人の身体
こんにちは、川村です。
今日の患者さんは30代女性でした。
- 腰痛
- 足の冷え
2点の悩みで来院されました。カイロプラクティックには様々な検査法があります。今回はディストーション分析、マインドランゲージテスト、ヒールテンションテスト、脚長検査、筋力テスト、モーションパルペイションなど行いました。
しかしテストは行ったものの、明確なカテゴリー診断が出来ない状態でした。過去記事でも説明してきましたが、こちらの女性もやはり免疫力があまりに低いために歪み(ディストーショ ンと言います)がありません。あるいは『ディストーションが無い』というディストーションがある、とも言えます。
全身の筋力テストをすると、すべての筋肉で筋力低下があります。マインドランゲージテストは筋力によって診断します。しかしカテゴリー1、2、3を診断するための、どの部位に触れても筋力が弱く診断が出来ません。
またモーションパルペイションテストでは、関節の具合によって診断します。しかし、こちら全身の関節に可動性異常があります。そして脚長検査をしても、脚の長さが揃っています。
<SLRテスト>
ヒールテンションテストは、アキレス腱付近の緊張をテストします。短下肢側に緊張があれば、カテゴリー1の可能性があります。 しかし、こちらも両側に緊張があり、明確な左右差がありません。緊張は両下肢だけでなく、全身が凝り固まった感じです。
カイロプラクティックというと「歪みを治す」というイメージがあると思います。しかし、最近は免疫力が低下し、初診では歪みすらないのが実情です。
免疫力アップのエクササイズ
この時点で免疫力アップの重要性を実感して頂くために、エクササイズのビフォーアフターを行いました。 すべてのエクササイズを行うには4分ほど必要ですが、今回は最初に行う30秒のエクササイズだけを行いました。
まずご自身の指の可動性を検査して、可動性異常を確認して頂きました。次に私がSLRテストを行い、柔軟性を確認して頂きました。
それから30秒のエクササイズを行うと、最初に行った筋力テストはすべて正常になりました。また、ご自身の指の可動性検査を再度行って頂くと、これもまたすべての指の可動性が回復していました。さらにSLRテストについても、ご本人がビックリするほど回復し、何か狐につままれたようなご様子でした。(テストの時に感じた痛みも軽減しました )
それもそのはず、私はテストはしましたが治療は全く行っていません。患者さんも「まるで魔法にかけられたか、マジックショーみたいです。」とおっしゃっていました。
たった30秒のエクササイズで全身の筋力が回復、全身の関節の可動性が改善しました。この後、すべてのエクササイズを続ければ4分位でさらに高いレベルでバランスを取ることができます。しかし、免疫力の低下が厳しい現在は、骨盤や背骨のバランスが取れているだけでは健康と言うわけにはいきません。
ここまで行った上で、エクササイズでは到達できない領域への治療に入ります。
夏に腰痛が増えるメカニズム
まず手技による脳脊髄液の調整を行います。それからいつもの様にSOT治療、CMRTの後頭骨ラインテストを行うと「後頭骨ライン2、エリア2」にしこりを発見しました。これは胸椎3番、胸椎11番、胸椎12番のどれかに異常がある、と言うことを示しています。
その後、別の検査によって胸椎12番の異常と判明しました。胸椎12番は腎臓と関連があります。当院では治療をしつつ質疑応答を進めていくと、片頭痛の症状があることもわかりました。これらもまた典型的な腎臓問題です。
こうした腎臓問題は気温の上昇とともに悪化します。ですので、これから夏にかけて注意が必要です。腰痛というと「寒い時期に冷えて悪化する」というイメージがあるかもしれません。ですが 実は夏にこそ多い症状です。
寒い時期に起こるタイプの腰痛も確かにありますが、腰痛は圧倒的に夏に多い症状です。なぜかというと、まず気温の上昇とともに体の代謝が上がります。代謝が上がると、その分だけ老廃物が多く生成されます。その老廃物は最終的に腎臓の働きによって排泄されます。
つまり、代謝が上がれば上がるほど、老廃物が増えて腎臓に負担がかかります。健康に良いと考えがちな、運動による代謝の上昇や温浴による代謝の上昇によっても腎臓に負担がかかります。
こうした事から腎臓疲労が起こると、内臓筋肉反射によって大腰筋に緊張が起こります。大腰筋は腰椎の線維輪から大腿骨の小転子に繋がっています。 大腰筋の緊張が起こると、腰椎が大腰筋に引かれます。 その結果、腰椎の歪みにもつながります。
また大腰筋の緊張が起こると筋肉、筋肉反射によって腰痛の最大の原因である広背筋の緊張にもつながります。詳しくは過去記事をご参照ください。
腰痛や座骨神経痛は腎臓が原因 内臓筋肉反射が痛みを生むメカニズム
睡眠時の室温管理に注意!
腰痛に良いと考えられている運動や温浴も、場合によっては腰痛の原因になります。なかでも最も注意が必要なのは室温管理です。特に睡眠時の室温管理は特に重要になります。
以前から「エアコンは体に悪い」と言うイメージがあります。「 エアコンのかけ過ぎから冷房病になるので注意!」 とまで言われていました。ですが、 そうではありません。エアコンのかけ過ぎどころか、エアコンをしっかりかけないせいで悪影響が出ています。
生命維持をコントロールしている自律神経中枢は「室温20度位を保たれていると最も正しく機能する」と言われています。 ですので、睡眠時は20度位に設定しましょう。タオルケットや半袖では寒いので、しっかり布団をかけて、長袖を着るなどの調節をして下さい。
また日中は室温を20度から22度位に設定しておくのが理想です。「20度では寒いのでは?」と思うかもしれませんが、 確かにそれだと大半の人は寒く感じるでしょう。その場合は長袖を着たり、ひざ掛けなどを利用して下さい。
暑がりの男性社員が温度設定を下げて、冷え性の女性社員が 気づかれないように設定温度をこっそり上げる。会社のオフィスでよく聞くやりとりですが、そう言う場合は暑がりの人に温度設定を合わせて、寒い人は個々で長袖を着るなどして調整すると良いでしょう。
こうした温度管理は自律神経系の機能維持に有効なため、免疫力低下も抑えることができます。今回のような腰痛だけでは無く、様々な症状を予防できます。
夏場(暑い時期)の腰痛の原因は、大半が腎臓疲労です。ですので、暑い時間帯の外での運動や草取りなどには特に注意が必要です。 涼しい時間帯でも腰痛のある方は控えましょう
治療内容
前回、腎臓のディストーションについてお話ししましたが、 こちらの女性は胸椎12番(腎臓)のディストーションでした。
脳脊髄液の調整やSOT治療といったここまでの治療によって、今度は明確なディストーションがあります。ここまで改善すれば、SOT以外の各種療法(鍼灸、指圧など)でも、骨盤や背骨は真っ直ぐになりますし症状は改善します。
当院ではカイロプラクティックの手技として、
- 胸椎12番の横突起へのタップ
- 大腰筋のアジャスト
- ヘソの近くの反射点への押圧
- 頬骨のリフト、腎臓リフトなどの CMRT
- 頭蓋骨テクニック
を行いました。治療後に確認してもらうと、その場で姿勢、痛みの改善、さらに冷え感も改善しました。当院ではお持ちのケータイで、ビフォーアフターの写真をお撮りし、姿勢の改善を確認できます。ご希望があればお申し付けください。こちらの女性も確認して頂きました。
温めすぎるとかえって冷える
こちらの女性は冷え性のため、毎日長時間の半身浴や、暑い時期なのに背中にホッカイロを貼っていました。腎臓は疲労すると熱を持ちます。腎臓は熱を持つと機能低下が起きます。腎臓の機能低下を防ぐために身体中から熱を放出して、腎臓を冷まそうとします。それが、こちらの女性の冷え性の原因となっていました。
ご本人も「ゆっくりお風呂で温まったても、寝る頃には寒くなってしまうんです」とおっしゃっていましたが、 その理由もこの為です。身体に良いと思ってやっていた半身浴やホッカイロ(腎臓の部位に貼っていました)も 大きな原因となっていました。
このように「冷えに良い」と思っていた事が、逆に冷え性を悪化させていました。意外かもしれませんが、冷え症は冷やす事で改善できます。具体的にはアイスノンで腎臓を冷やす方法があります。やり方自体は簡単なのですが、腎臓の位置の確認や時間などを直接指導する必要があります。
身体の不調にお困りなら川村治療院へ
現在はネットやテレビによって、様々な健康情報が発信されています。しかし、なかには一面的な内容も多く、今回のように「良かれ」と思ってやっていることが、かえって悪化に繋がっている場合も珍しくありません。
カイロプラクティックは今回のような様々なテストによって、症状を生み出している本当の原因を特定します。日常生活でどんなことに気をつけたらいいか、食生活や温度管理、ホームエクササイズなどもアドバイスさせて頂きます。
特に免疫力アップのエクササイズは、健康を保つために欠かせなくなっています。今回は時間に少し余裕があり、残りのエクササイズの練習を行いました。治療を優先すると時間がなくなってしまい、エクササイズが次回になってしまう場合もあります。初診時にエクサザイズを練習したい場合は、お気軽にお申し付けください。治療の途中で練習いたします。
こちらの女性にも食事指導、生活における注意事項を説明して終了しました。患者さんとの相談で月1での定期的な治療を行う事になりました。